柳原です。
この間のメールを書く中で、今年2月に、ブックレットの編集作業の中で新しい気づきに出会った、その内容が、今のテーマと関係していることに気がつきました。
すっかり忘れていたのですが、改めて、重要な気づきだと思ったので、参考までに転送します。
-------- Forwarded Message --------
Subject: さらにもう1つの気づき「交換様式の4つ目は人権のことだ」について
Date: Fri, 9 Feb 2024 12:33:36 +0900
From: Toshio Yanagihara <noam@topaz.plala.or.jp>
To:
小川さん
柳原です。
今、プールで泳いでいて、ふと、また新しい気づきに出会いました。
それは、柄谷行人が2010年に出した、彼の本では世界で最も読まれている「世界史の構造」の中で全面的に展開した「社会の構造を、唯物論のような生産様式で捉えるのではなく、交換様式で捉える」問題について、彼が、そこで4つの交換様式を提起し、その最後の4番目として、私のみならず台湾のオードリ・タンも注目した「自由と平等を担保した未来社会の原理」としての交換様式Xについてです。
https://gentosha-go.com/articles/-/34442
これって、結局、「自立した個人の平等で自由なアソシエーション」により作られていく社会関係のことなんですね。
だとしたら、それはさっき書きました、協同組合の原理そのものなんです。
だったら、この交換様式Xは人権を言い換えたものにほかならない。
それが分かれば、これまで、世界史の中で、交換様式Xはどのようにして存在、発展、生成してきたかは、人権闘争の歴史を見れば分かる。
逆に言えば、世界史を人権の視点から再構成する時に見えてくるものが、協同組合の原理でもあり、交換様式Xのあらわれなんだと。
なぜ、こんなことにこだわるかというと、これまで柄谷さんは、2001年に、社会をこれまでの唯物論=生産様式ではなく、交換様式で捉え直すことが必要だという発見をし、その中で、未来社会を構成する交換様式として、交換様式Xを提起したのですが、
そのあと、じゃあ、お前が言う交換様式Xって一体何なのか?という問いを執拗に突き詰めたのですが、なかなかその具体的なビジョンを掴むことが出来ずいたのです。彼の最新作「力と交換様式」も、その苦闘の足跡ですが、やっぱり、上記の問いの答えが出ずじまいでした。
この本を読んだ時、もう柄谷行人に期待するのは難しいのかもしれない、自分で答えを見つけ出すしかないと思いました。
そして今、その答えの手がかりを、人権という中に見つけ出したと思ったからです。
そんなだいそれた発見ではありませんが、今まで、柄谷行人すら「人権」という切り口で世界史を再発見する意義に気がつかなかったことを思うと、人権が世界史の認識を大きく変える画期的な一歩になる可能性があると、密かに感じています。それを具体化する一歩が今回のブックレットです。
以下、「力と交換様式」について語った柄谷行人のインタビュー
https://book.asahi.com/jinbun/article/14748689
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