谷川俊太郎司会の「声の力」の中で、声楽家の池田直樹が「とおる声、とおらない声」という見出しで、こう述べている。
ヴァイオリンの音を不思議だと思ったことはありませんか。
ヴァオリン協奏曲では一人の独奏者の後ろに、第1ヴァイオリン8人、第2ヴァイオリン8人が弾いているのに、独奏者のヴァイオリンの音が際立って聞こえてきます。
独奏者だけが特別に大きな音を出しているわけではありません。
不思議でしょう。
それは、優れた音質が可能にしているのです。
声も、音量ではなく、音質が優れていることが大事なのです。
それは、才能の差以上に、力が入っていない、力んでいないということが大事なようです。(91頁)
これもまた、声の力とは、喉=声にあるのではなく、全身全霊に宿ることを示すもの。
そして、「力が入っていない、力んでいない」とは、【第52話】で書いた、聴衆を捉えるのは「自分のからだの覚えた言葉」で発するとき、に通じるもの。
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